松本市市長菅谷昭さんへのインタビュー(2)

インタビュー(1)から続く

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松本市における放射能災害に対する取り組み

阪口:松本市では、そういうお母さん達が、放射能に対する情報交換をされたり、ときには市長に直接相談できたりしますか?

菅谷:やってますよ。僕はそこに行って話もします。
自分から行って市民向けの講演をしたり、いろんな要望も聞きますし、また必要な事はやります。 私の方が早いですからね。 要するに市民の皆さんの要望より私が先にどんどんやりますよ!って事ですね。 
当たり前じゃないですか。僕は既に色々と知ってるから・・・。
子供の学校給食への対応だって、たぶん松本市が日本で一番早かったと思いますよ。それは、とにかく「子供達を守ろう!」と言う事で、やれることはやろうじゃないか!って事でスタートしたから・・・。
(他の県の)皆さんがおっしゃるのは松本市でやれるけど、私たちは出来ませんって。

初めは行政が聞いてくれないとか、出来ないとか・・・。 でも、何で出来ないんですかって?ここ(松本市)でもやってるじゃないですかというと、「そうですね、そちらでやっているなら我々の所でも出来る事をやっていこう」って、少しずつ変わってきて・・・
そのために私は今必死でやっているんですね。 松本市がやれば他も動いてくれるかなと希望を抱いて・・・

阪口:放射能への対策の新しいモデルを作ってらっしゃるということですね。

菅谷:だからそういうふうにやっていくって事が・・・これは私の運命だなって思っています。

阪口:松本市でも一部福島の子供達を、ご家族を受け入れてらっしゃいますよね、今もそれを継続していらっしゃるのですか?

菅谷:福島を中心に、例えば首都圏からもお子さんを連れて来ていますよ。移住まではしないですが、一時避難的に来ているとか。しかしやはり福島が一番多いですよ。
それに対して私どもが出来る事は、市営住宅の減免とか、その他子ども関連の費用などの低減をやっています。しかし、これも変な話ですよ。だって松本市の税金でやっているわけですから・・・。

阪口:松本市の方たちが援助して下さってるんですね。

菅谷:そうなんです。一応2年間という事でやりました。しかし2年経っても、とても終わらないでしょう・・・。

阪口:今また原発を再開するって言う様な話があって、そうすると放射能の危険性と言うのは常につきまといますね。放射能以外の代替のエネルギー源について、松本市でも取り組んでいらっしゃるのですか?

菅谷:お金を使ってますね~。一般家庭の太陽光発電整備事業は早くやろうと言ってね。今相当増えてます。私がチェルノブイリから日本に戻ってきてたときに、意見を求められて言ったことは3つありました。

1)「新しい原発は作らない」、そしてその替わり、今ある原発の安全性だけはちゃんと担保して下さいって言いました。結局福島の事故がおこってしまいましたが・・・。
2)「代替エネルギー」ですね。政府の支援、補助金を原発ではなくて代替エネルギーの技術開発にシフトしてほしいとお願いしました。
そして、3)に私達自身が生活スタイルを少し改めようよと・・・。 その一つが今で言う「節電」ですよね。 「私達の生活様式を変えよう」と、この3つを言っていたんです。

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子どもに食の大切さ、自分の体を大切にすることを伝える

阪口:これからの地球は、放射能だけじゃない、pm2.5や予期せぬ色々な災害が起こると思うんです。それでも子供達が生き抜いていためには、子供たち自身が「サバイバル力」をつけることが大事だと思うんです。

菅谷:それをやらなきゃだめですね! これからは子供達に人間の体というのは、「免疫力」とか「解毒力」とか、その他いろんな力を発揮できるんだよという「知識」を身につけさせる事だってすごく大事だと思います。 西洋医学に頼るばかりじゃなくてね。

阪口:長野は「長寿の県」ですね。きっと「健康を保つ」と言う知識が沢山あるんだと思います。
日本の各地にそういうものがたぶんいっぱいあったのに、私達の母親世代に食事内容が「西洋化」した事で一気に壊れていくんですよね。 だから母から、例えば「ハンバーグの作り方」などは教わっているのに、一方「体や季節に合わせた食事の仕方」なんかはまったく教えてもらっていない。

逆に言うと今の子供達に季節に合った食事や、「長野」という県に生まれて、長野の食材を食べることの意味を伝えていくことで、自分の体とどう付き合っていったらいいかって言う感覚が育っていくと思うんですね。

菅谷:今、そのようなことを、学校ではじめようとしているんです。新年度の予算でつけたのが、「機能食品」です。広い意味で薬膳も同じですよね。
例えば、免疫力、解毒力とか抗酸化力があって、地産地消ではないですが、私達の場所で出来る物で調理してごらんって・・・今、農林部が動いてくれてるんですけどね。

阪口:その食材を使う意味を子供達がで知って、料理するって言う事ですね。

菅谷:そういう事ですよ。 「医食同源」、「旬」を意識して食べるとか・・・。
子供達は純粋だから、一生懸命やる。そう言う「食の習慣」を小さい時から植えつけたり、教育の中に取り入れていく。ごく自然に・・・とても大事な事ですね。

松本市では「毎月19日は家族団欒&手作り料理を楽しむ」と言う日を作ってるんですよ。

阪口:それはすごいですね!!

菅谷:だから19日になると必ず(市役所で)放送して、職員には「早く帰りなさい!」っていうんですよ。 「子供達と一緒に買い物に行きなさい!」って。 「家族の絆を作ろう!」って。市長になってからずっと実行しています。

みの:なぜ19日なんですか?

菅谷:食育のイ、クだから。

みの:あぁ~、なるほど・・・ステキですね。

ここでちょっと市長に質問なのですが、普段の食生活で、ダシを摂るために「昆布」や「干しシイタケ」を使ってらっしゃいますか?
出汁をとるって、薬膳ではとても大事なことの一つなんですが、ちょっとレシピでも悩んでいます。というのは、キノコはセシウムなどの放射性物質を多量に取り込むと言われているなか、昆布や干ししいたけは本当に大丈夫なのか? 平気なのかと実際のところわからないと言う事で結構ダシを使ってないお母さんも多いんです。

菅谷:チェルノブイリ事故の時に、ベラルーシではキノコって汚染地でも多くとれましたね。でも、汚染されていないものは問題ないでしょう?

みの:キノコがどうやって成長しているのか?ですね。 お母さん達はただ情報でキノコは汚染されていますからダメって言われたら、イコール全てダメなんじゃないか?と考えてしまうのが現状です。

菅谷:説明や情報が足りないんです。結局はね。 だからちゃんと話をすれば、十分理解する、理解できる方がいて「あぁそういう事ですか」って。

みの:今回の阪口先生とレシピを考えていたときに、なぜこれは良いとされるのか?
全ての食材には何かしらの「効力」がある事を伝えて、食材とカラダ・ココロにどのように働くかと言う事のつながりを知ってもらおうと思うのです。

菅谷:とっても大事。ちゃんとした説明が大事だとつくづく思いますよ。

みの:ありがとうございます。

江口:松本市で原発の事故があった時、何か対策を・・・多分様々な事をされてきたと思うのですが、その中で一番出来る自慢って言うのは何ですか?

菅谷:一番はともかく、「学校給食」。 「学校給食」の事をきちんとやってあげよう!
それは皆さんに大変喜んでいただけました。

もう一つは、先ほども言いましたが、私達は「飯館村」の子供達を保養と言う形で呼んでいることをずっとやっています。 「保養」に関してはこれからも継続していく。
しかしこれもさっき言った様に税金でやってますが、どこまで市民の皆さんがそれに賛同してくれるかですね。 今、私達市民の中でもって、「これを使いなさい」って子どもキャンプや保養にお金を出してくれます。

阪口:それは市民の方の寄付みたいのですか?

菅谷:そうです。ちゃんと福島の子供に使ってくれって指定してくれてますから、使いやすいですね。 また、私は自分の「基金」を持っているので、それでどこかに学校を作ろうかなと思っていますね。 いや、誰かがやらないといけない。 本当は国がやっぱり全部動いてくれたらいいのにね・・・。

それに「除染」は、あれ無理ですよね。 高度の除染は税金を使ってやったって、もとに戻ってしまうんです。チェルノブイリだって除染はやめましたからね・・・。皆さん方の税金、数兆円なんて使うわけですから。 放射能のこと、環境のことをよく知らない人が動いているから、こうなってしまうのですね。

ですが、これからもがんばりましょう! これ(薬膳)は是非皆さんも率先してやって下さい。 頑張って下さい。 私もそういう意味であちこちへ行って、みんなで頑張りましょう!と言って、出来る事はやりますから・・・。

阪口:はい、がんばります! 今日は貴重なお時間を頂きまして、本当にありがとうございました。




食でカラダとココロを健康に保てる薬膳をお母さんたちに伝えていきます。
ハッピーで、健康なお母さんが増えれば増えるほど、元気で、サバイバル力のある子供たちが育っていくと信じて!

今回、菅谷昭さんへのインタビューに、協力してくださった松本市役所のみなさん、有志の5人の生徒さんたち(西山美之さん・江口紀子さん・SAXER 由香子さん・小林さち子さん・酒井康子さん)ありがとうございました。


菅谷昭さん 公式ホームページ⇒

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