2014年5月19日 西洋フードコンパスグループ社長「幸島武」さんインタビュー

企業の健全さを保つこと、心身の健康を保つこと、それは、テーラーメイドの服作りに似ている

西洋フード・コンパスグループ CEO 幸島 武(こうじま たけし)さん

阪口先生と幸島

2014年4月、薬膳家 阪口珠未が、西洋フード・コンパスグループのグループCEO 幸島 武さんにインタビューをしました。現在、西洋フード・コンパスグループが全国で運営する企業内社員食堂のうちの250カ所以上にて、阪口珠未監修の薬膳メニューを導入しています。
                                          

社員食堂での薬膳メニューの導入は、社員の皆さんの就労環境の改善と健康増進に役立っている


阪口:はじめまして、幸島さん、今日はお会いできてうれしいです!

幸島:ありがとうございます。こちらこそ、お会いしたいと思っておりました。阪口さんに監修頂いたメニューを社員食堂に導入しまして、多くの企業様が非常に興味を持っておられ、「さすが西洋フード・コンパスグループ」と言ってくださっています。

阪口:今日は、幸島さんにご自身の健康、そして、企業として健康をどう考えていらっしゃるかということで、お話をお聞かせください。


幸島:そうですね。まず、薬膳メニューを社員食堂のメニューとして導入することは、食堂をご利用になる方々の就労環境の改善につながると思っています。例えば、クーラーの効いた職場で仕事をしていて、冷え性に悩む女性社員の方がいるとして、その冷え性を社員食堂の食事によって改善できるというのは、企業様にとっても、働く側にとってもメリットは大きいと思います。

薬膳3月ポスター


阪口:社員食堂だからこそ、働く人によいメニューをご提案することができるということですね。
幸島さんもご自身のご健康には、気を配っておいでなのでしょうね。
大企業の経営者ということですと、ただでさえ心身にかかるプレッシャーは相当なものと思いますが。何かリフレッシュの方法はお持ちですか。

幸島:そうですね。可能なときは1週間に4回はジムに通い、1時間半から2時間汗を流しています。

阪口:そんなに? 

幸島:私は27歳の時にアメリカで吉野家ウエストの管財人となり、29歳で吉野家ウエストの社長に就任しました。その後、西洋フードシステムズ(現 西洋フード・コンパスグループ)の資本再構築をメインの課題として、社長に就任しました。そういう意味では、普通ではないプレッシャーを感じる場面は多いかも知れません。

阪口:そのような状況を乗り切るタフさを見込まれて、今の西洋フード・コンパスグループの社長になられたのですね。


体にも、仕事にもある、危険を察知する鋭敏なセンサー

阪口:今、健康なのか、そうでないのかを計る、バロメーターのようなものはお持ちですか?

幸島:ありますね。いつも体の同じ部分の調子が悪くなります。そういう時には「休む時期だな」と考えてペースダウンするようにしています。

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阪口:自分の体が教えてくれるわけですね。そのような危険を察知するような、感覚は、お仕事にも生きているのでは?
幸島さんには、非常に大胆な部分と、堅実で緻密な人柄が同時に存在している感じがします。西洋フードシステムズがコンパスグループに入ったときの大胆な決断と、レストラン事業を縮小して、社員食堂運営(事業所給食)などのコントラクト事業という堅実な業態をメインにシフトチェンジしたというのもそうですね。

幸島:あの時は他の外食企業の逆を行きましたから、驚かれました。レストランという大きな箱を作って、1ヶ月に何千万円という金額を売り上げるというのは、魅力的なのです。
でも、コントラクト事業にはそんな派手さはない。しかし、すでに当時から優良な企業様と西洋フードシステムズは取引させて頂いていましたから、私はその部分で確実に収益があがると考え、そちらに賭けたわけです。

阪口:そのような鋭敏な感覚は、どの時点で身につけられたのですか

幸島:おそらく危険を回避する能力はかなり早い時期から備わったと思いますね。うちの家は、私が小さいころは、紳士服のテーラーを営んでいました。一時は住み込みの職人を7,8人抱えるほどの余裕がある家でした。ところが、父親の病気や他人の保証人になったことで、家が差し押さえられたのです。家中の家具に赤い紙を張っていくのです。当時の私は、おもしろがって、家の中でその人にくっついて歩いていました。

阪口:それは強烈な印象にのこる経験ですね。それが原点でしょうか。

幸島:人間は、失敗から多くのことを学びます。例えば、他人の保証人になっていけない・・・とかね。

阪口:なるほど、幸島さんの鋭敏なセンサーは、すでにその頃に養われ始めたのですね。幸島さんの中に、常に大胆さと慎重さという二つの視点があるという感じはありますか?

幸島:ありますね。何かをやるときに、常に、客観的に見なおすこと。
うまく行っているときはいいけれど、それがうまく行かなくなったときに、どうすればいいか、という危険を回避するための準備は怠りません。

服作りも経営も、大事なのは、軸がぶれないこと

阪口:幼い頃お父様のお手伝いをされて、幸島さんは服の縫製ができるとのことですが、テーラーというお仕事と、今の経営というお仕事は似ていますか?

幸島:似ていますね。スーツを作るときには、必ず中心線が必要です。中心線を境にして、幅を縮めるときも出すときも、後ろの縫い代で調節する。そこが服作りの基本です。
経営も同じように、中心線つまり軸というのが非常に大事です。何かあったときに変化に対応するには、ぶれない軸と変化を吸収する縫い代が必要です。

阪口:ものすごく面白いお話ですね!
そういう意味では、経営においても、ご自身の健康管理においても、自分の軸が大事ということですね

阪口先生_8


幸島:健康管理については、最近は自分のカラダに合わないと思ったら、機内食も断れるようになってきました(笑)
普段の食事では、炭水化物を控えて、野菜とたんぱく質を摂取するように心がけています。ちなみに私の夕食は、まずボウル一杯のキャベツから始めますよ。
運動では40キロのバーベルを挙げるトレーニングをやっています。今60歳ですが、今までで最も体力が充実していると感じています。


阪口:そうやって、ご自身の一番いい状態の体をキープすることで、軸を保っているということですね。

幸島:さらに付け加えると、少し太めがいいかなと。例えば、がんになったときには闘病のために体力が要りますから。
阪口:先ほどの、服の縫い代の部分ということですね。

健康的な楽しい食で、クオリティ・オブ・ライフを高める


阪口:お仕事の中で、企業の社員食堂や高齢者施設、保育園などでは、健康と食をどのように位置づけていらっしゃいますか?

幸島:お客様のクオリティ・オブ・ライフを高めるという意味で、社員食堂や保育園の食事において、お昼にバランスのとれた食事を取るというのは、とても大切だと考えています。

阪口:私もそう思います。普段の食事をみていると、50、60代の方が、たいてい良いです。10代の子供はアレルギーの問題が増えていますし、20、30代の方は、肩こり、慢性疲労など、さまざまな体の不調を抱えています。
だから、社員食堂や保育園、学校などの給食で、体を整えるというのは、これから、ますます意味のあることになっていくと思います



幸島:また、特に高齢者施設では食事の中に楽しさも必要です。高齢者施設では毎日の環境は変わりませんし、食事にこそ変化が必要なのです。マンネリは最大の敵ですね。

阪口:具体的には、どのようなことがありますか?

幸島:例えば、私たちのグループにはマグロの解体ショーなどのイベントを行う「キャラバン隊」という専門のチームがあります。全国の施設を回って、揚げたてのてんぷらやそば打ちイベント、握り寿司の提供なども行います。

阪口:マグロの解体ショーは、漢方キッチンのイベントにお呼びしたいです。お寿司は、きっと高齢者の方は、喜ばれるでしょうね?

幸島:そうですね。普段はソフト食しか召し上がれないような入居者様も召し上がることもあり、喜ばれます。また、入居者様にも実際に握っていただくこともあります。ラップに酢飯とネタを置いてから、手渡してラップをひねってもらえば、手まり寿司ができますからね。
皆さん、とても生き生きとされます。

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これからの人たちへ 「健康に、タフに、自分を磨き、育てていくには」

阪口:最後に、ご自身の生き方を振り返って、20~40代の人たちにこれをしておくといいというアドバイスはありますか?

幸島:うーん。20、30代は、まず自分の軸をつくる時期です。今の風潮で、ノウハウ本やスキル本ばかりを読む人が多いですが、まだ自分の確固たる軸がないのに技術論ばかり読んでも、理解は難しいのではないかなと感じます。
それより、自分と異業種の人に会うなど、多方面の人と関わることです。そして、自分のメンター(導いてくれる人)といえるような人とめぐり合えるとさらにいいですね。

阪口:幸島さんのメンターは、どんな方でしたか?

幸島:今まででお世話になった方からはたくさん学んできました。また、アメリカで勤務していた時代には、流通大手の経営者の方々とお会いする機会もあり、そのときにも色々と学ぶことができました。例えば、こんな風になってはいけないということもです。

阪口:相手を尊敬しても、自分の軸を他人に預けないということですね。40代はどうでしょう?

幸島:40代は勝負の期間ですね。20、30代で培ってきた軸で判断をし、蓄えてきた専門知識と教養力をフルに活用する。

阪口:健康面では、日常的な運動を心がけていらっしゃるようですね。

幸島:実は20代のころから、みんなが昼休みの時間に、一人でジムに行って運動をしていました。
阪口:私も週に3回は、プールかジムに行っていますが、運動をすると、頭の中で
もやもやしていたことや、仕事で悩んでいたことなどが、整理されますよね。

幸島:そうです。そういう意味では、運動が精神面での健康にも役立ちます。

阪口:幸島さんはお肌がつやつやです!そういえば、海外の経営者はみなさん、外見にすごく気をつけていらっしゃいますね。

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幸島:彼らは外見には厳しいです。人と会うときは、外見や第一印象が大変重要です。

阪口:経営者という職業は、苦労が多くて大変というイメージが強いのですが、幸島さんのような、素敵な経営者が日本にも増えるといいなあと思います。
あんなかっこいいトップになりたいというモデルがあれば、きっと若い人の励みになりますから。

幸島:いえいえ、でもそう言っていただけて光栄です。ありがとうございます。

阪口:今日は、貴重なお話をありがとうございました!


1年に数回の北米での釣りが、大きなリフレッシュになるという。
「その間は、幸島はいないものと思ってくれ」と言ってあるとのこと。
タフさを保つために、必要な心身のリリースになっているようだ。

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