常陸秋ソバの名店

2010.11.17

 先日、古本屋で買った本には、なかなか優れもの。地図と一緒に各地の名産品や農産物が載っています。
  香取から足を伸ばしていけるぐらいの距離に茨城の「常陸秋そば」というのがありました。
 夫が早速、ネットで調べると、「信太の里」というお蕎麦屋さんが、おいしいとのこと。
行ってみることにしました。
 着いたのは、もう3時近く。
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大きな古民家を改造したお店です。青山という表札がかかっています。
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入り口には、すでにのれんはなくて、でも営業中の看板。
おそるおそる
「あの~、お蕎麦、まだ大丈夫ですか?」
「もう、看板しまおうと思ったところだったんですよ。いいですよ。」
良かった~。
せっかく目指してきたのに、食べられなかったら残念すぎる!
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お店は、お屋敷のお座敷部分を開放しているようです。
太い張りが入っていて、歴史がある感じです。
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縁側近くの椅子席は、ちょっと大正ロマンの雰囲気です。
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さて、常陸秋ソバ。鴨汁つきです。
結論からいうと・・・。とにかく美味しかったです。丁寧に心を込めて作られているのが伝わってくる味。
味から作り手の姿が見えるときがありますが、このソバは本当にそんな感じ。
鴨汁の鴨と葱は、きちんとあぶって焼き目をつけてから汁の中に入れてあって、香ばしさが立ち上ります。
「この鴨、味が濃いね」
と話をしていると、ご主人が、お団子を持って現れました。
「いただきものなんですが、良かったらどうぞ。」
もう、店じまいなので、お店の一角で従業員の人たちの食事をされていたようです。
お話をお聞きすると、以前は消防署で働いてらっしゃったそうです。退職を機に、空き家になっている古民家を借りて、趣味のソバつくりをお仕事にされたとか。
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蕎麦湯とともに、おみかんが運ばれてきました。
う~ん。なんだろうな、このお店に漂う独特の感じは・・・。
「すみませ~ん」また、別のお客さんが来たようです。
もう、3時半。私たちでも、遅めのお客だもの。きっと断るんだろうな。
ご主人は、「好きでやっている店なんで、なるべく断らないようにしてるんですよ。」と言って、初老の男性客二人を案内していました。
 余裕
働き盛りの現役のシェフが働くお店では感じることのない空気です。
お店に食事しにくるとき、決して味だけで、足を運ぶわけではないですよね。
このお店には、年を重ねたおじいちゃんやおばあちゃんに、私たちが求めるものがあるような感じがしました。
年をとることって悪くないなぁ。
その年だからこそできる仕事の形があることを教えられました。
おいしいお蕎麦、お団子もおみかんも、縁側に指す西日も。
満喫しました。ごちそうさまでした!