2026.6.22

漢方キッチン講師の今西清美です。

先月、友人たちと佐渡へ行ってきました。

佐渡といえば、トキや金山、そして和太鼓。そんな実にステレオタイプなイメージしか持たないまま、小学校時代からの友人との3人旅です。目的の半分はおしゃべりというお気楽な旅でした。

実際に訪れてみると、観光資源が豊富で、農産物も実に豊か。自分の勉強不足を恥じた2泊3日となりました。

## 大野亀で出会った一面の花畑

二日目に訪れたのは、標高167mの一枚岩が海に突き出す「大野亀」。

そこには、トビシマカンゾウと呼ばれる固有のカンゾウが、50万株、100万本も群生していました。

見頃には少し早く三分咲きでしたが、それでも一面に広がる黄色い花は圧巻。満開の時期には全国各地、さらには海外からも多くの人が訪れるそうです。

『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で二つ星に選ばれているというのも納得の景色でした。

トビシマカンゾウは、佐渡とごく一部の日本海側に自生するニッコウキスゲの仲間。そのつぼみは、薬膳食材として知られる「金針菜」です。

しかし、ガイドさんも添乗員さんも、この花のつぼみが食材として利用されてきたことには触れませんでした。

知られていないことに少し驚きながら、私一人が興奮して花に近づき、何枚も写真を撮っていました。

薬膳を学んでいる人にとっては身近な金針菜も、一般にはまだまだ知られていない食材なのだと実感した瞬間でした。

## 湿気と暑さが増す季節に

6月は本格的な夏を迎える前の梅雨の季節。

近年は気候変動の影響もあり、従来の梅雨とは異なる気候になることも増えましたが、湿気と暑さは少しずつ私たちの体に影響を及ぼし始めます。

そんな季節の養生に取り入れたい食材の一つが、金針菜です。

中医学では、金針菜は体の余分な熱や水分を整え、血を養い、巡りを助ける食材と考えられてきました。

また、「憂いを忘れる草」という意味から「忘憂草(ぼうゆうそう)」とも呼ばれ、気持ちを穏やかに保つために用いられてきた歴史があります。

湿気と暑さが厳しい日本の夏に、ぜひ取り入れてみたい食材です。

今回は乾燥金針菜を使った、冷めてもおいしいスープをご紹介します。

# 金針菜のすっきりスープ

材料(2人分)

金針菜(乾燥)……5g
豆腐……70g
きゅうり……15g
昆布……5cm角1枚
煮干し……4本
薄口しょうゆ……小さじ2
塩……適量

作り方

① 水300mlに昆布と煮干しを入れ、1時間以上置く。

② 弱火にかけ、15分ほどコトコト煮て出汁をとる。

③ 金針菜はさっと洗い、水300mlに30分以上浸して戻し、硬い部分を切り取る。

④ 豆腐は1cm角に切る。

⑤ きゅうりは2mmほどの小口切りにし、塩をふって15分ほど置き、水気をしっかり絞る。

⑥ 出汁から昆布と煮干しを取り出し、戻し汁ごと金針菜を加える。ひと煮立ちしたら豆腐を加えてさらに煮る。

⑦ 薄口しょうゆで味を調え、器によそい、最後にきゅうりをのせて出来上がり。

※薄口しょうゆがない場合は、濃口しょうゆ大さじ1で代用できます。

旅先で偶然出会った、見事なトビシマカンゾウの群生。

美しい景色を楽しみながら、古くから受け継がれてきた食の知恵に思いを馳せる、そんな時間となりました。

湿気と暑さが増してくるこれからの季節、日々の食卓に金針菜を取り入れて、健やかに夏を迎えたいものですね。