気血を養う、最高の健康食材「うなぎ」

2020.7.30

みなさまこんにちは!

薬膳セラピストの柳本綾子です。

異常気象ともいえるような長い梅雨でした。みなさまのご体調はいかがでしょうか?
そんなゆううつな長い雨もようやく終わって、太陽いっぱいの夏になりますね?

そして8月2日は2020年の「土用の丑の日」にあたります。土用とは季節の変わり目という意味だそうです。

土用の丑の日になると、スーパーでも鰻のかば焼きが並びますし、近所の鰻屋さんでも美味しいそうな匂いと共に、買い求めるお客さんの行列を見ることができます。

●日本人は古来よりうなぎが大好物!●

国内では130か所の縄文時代の遺跡からうなぎの骨が出土しています。
また古くは万葉集にも「夏痩せにはうなぎを食べる。」という、大伴家持の歌があります。

実際にうなぎを食べる習慣が広まったのは江戸時代。

痛みやすいうなぎは夏に売り上げが落ちてしまい、困ってしまったうなぎ屋が蘭学者の平賀源内(エレキテルで有名な方ですね?)に相談をしたそうです。
その際に源内が作った宣伝コピーをきっかけに大繁盛しました。そのコピーとは・・・・。

『本日土用の丑の日』
土用の丑の日うなぎの日
食すれば夏負けすることなし

他のうなぎ屋も真似をするようになり、江戸では夏はうなぎが滋養強壮の代名詞となったそうです。

今月はそのうなぎを薬膳的な視点からご紹介します。
レシピもございますので、最後までごらんくださいませ。

┏━ INDEX     ━━━━━━━━┓

【1】気血を養う、最高の健康食材「うなぎ」

【2】脱!夏バテレシピ「うなぎと干し椎茸のそばいなり」

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【1】気血を養う、最高の健康食材「うなぎ」

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うなぎには「気」や「血」を補うすぐれた効能があると薬膳では考えられています。
特に夏場は汗をかき体の中から体液が出てしまうため、それとともに人の生命エネルギーである「気」も消耗しがちになります。

これがいわゆる「夏バテ」です。

気血や体液を食べることで補うことで次のような体調不良の改善が現れます。

■疲労回復

■腎と肝の働きを高める

■老化防止

■眼精疲労、視力改善

■耳鳴り、めまい

■足腰を強くする。関節痛の改善

■手足のしびれ

■梅雨時など湿気の高さによるむくみの改善

■メンタル面の疲れ

また栄養面でも大変優れています。具体的には・・・。

〇良いタンパク質

〇ビタミンA⇒目のビタミンといわれています。牛肉や豚肉の160倍含まれています。

〇DHA、EPA⇒抗アレルギー コレステロール低下作用、ガンの抑制作用、動脈硬化の予防など。

〇ビタミンE⇒牛肉の10倍含まれています。抗酸化作用があり「若返りビタミン」と言われています。ビタミンEの化学名は「トコフェロール」といい、「子供を授かる」という意味になります。妊活中の方や美肌を意識されている方、ゆらぎ世代の方に取ってもらいたい栄養分です。

〇カルシウム⇒牛肉豚肉の70倍含まれています。

脂質が多いため食べ過ぎると胃腸に負担がかかりますのでご注意くださいね。

また脂肪の酸化を抑制して、消化を促す山椒をトッピングすることをお忘れなく!

★効果的な食べ合わせ★

+ お米⇒気を補う食べ物同士なので、パワーアップに最適!ひつまぶしなどはいいお献立ですね?

+卵⇒うなぎの腎の働きをよくする効能、卵の血のめぐりをよくする効能が合わさって、足腰の痛みを改善して強くします。うまきなどがおススメです。

+山芋⇒うなぎと同じく「気」「血」「水」を補う山芋は最強パートナーです。食欲不振や疲労回復にうなぎのとろろはいかがでしょうか?

本来うなぎは秋冬が旬のようです。それが甘酒と同じように日本人の文化の発展と共に、夏バテ予防の代名詞のような食べ物として親しまれてきました。

私は薬膳の勉強や美味しいごはんを食べることに加えて、歴史をたどることがとても好きです。薬膳に関する記事を書かせていただくようになって数年たちました。
その中で食べ物一つ一つがたどってきた歴史の旅をかいま見ることが有意義で大変楽しい時間になりました。

薬膳は大変古くから発展してきた食養生です。

中国の先人たちの健康と食べ物に対する情熱や、日本の風土で育ってきた食の物語は薬膳に出会えた人たちだけが知ることのできる特権だと思っています。

ぜひ、不思議だな?これが体にいいと言われてきたのはなぜだろう?と思う食べ物がありましたら、本やネットで調べてみてください。

食べ物たちの歴史はとてもたのしいですよ!

それでは暑い夏本番を迎えます。情勢不安の中、心も体のコンディションも不安定になりがちになりますが、美味しく食べて元気をつけていきましょう!

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【2】】脱!夏バテレシピ「うなぎと干し椎茸のそばいなり」

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材料

うなぎのかば焼き(市販品)

干し椎茸の佃煮 25グラム(ストック分ふくむ)

A 醤油 大さじ1
A みりん 大さじ1
A 砂糖 大さじ1

油揚げ 5枚または市販のいなり用油揚げ

B 醤油 大さじ2
B 酒  大さじ2
B 砂糖 大さじ2
B みりん 大さじ1

B 水200ml

山椒 少々

蕎麦 2人分

麺つゆ 大さじ1

《下ごしらえ》

干し椎茸を軽く水洗いしてから、容器に入れかぶるぐらいの水を入れる。キッチンペーパーをかぶせて冷蔵庫で6時間から一晩かけて戻す。(冷蔵庫で戻すとうまみと栄養素が逃げません。)

<作り方>

1:戻した干し椎茸の軸を落としてAと戻し汁200mlほどを鍋に入れて火にかける。灰汁をとりながら中火で煮ます。そのあとは落としふたをして弱火にし15分煮る。(水分が足りなければ戻し汁を少し足します。)
落としふたをとって軽く煮詰めます。火を止めたら冷まして粗みじん切りにします。

2:油あげを半分に切ってそっと中を開きます。湯通しをして軽く冷めたら手で挟んで水を切ります。

鍋にBを入れ、煮だったら油揚げを入れて落としふたをします。汁気がなくなるまで煮詰めます。

3:蕎麦をゆでて、ざるにあげて水でさましてしっかりと水切りをします。ボウルで麺つゆと混ぜ合わせます。蕎麦に少しだけハサミを入れたほうが油揚げに詰めやすいでしょう。

4:油揚げの口をすこし内に折りこみ、蕎麦を詰めます。干し椎茸とうなぎを乗せて山椒をふります。

お好みでネギやゴマをちらしても美味しいですよ。

椎茸もうなぎと同様に気を補い、疲労回復や滋養強壮に優れた食材です。生活習慣病の予防だけでなく、病気療養中の方にもスープなどで召し上がっていただきたいです。