2024.3.26
小林製薬が今日26日に「健康被害の恐れがある」として紅麹(べにこうじ)原料を含むサプリの自主回収を発表しました。
このサプリを摂取した消費者1人が死亡した可能性があるためです。
実は台湾では「紅麹」に発生するカビ毒のシトリニンは肝臓や腎臓に対して毒性があることが、すでに10年以上前からわかっていました。
2010年の調査で、紅麹を使った市販の食品に多くのカビ毒「シトリニン」が含まれることが判明し、日本の厚労省にあたる台湾の「中華民国衛生福利部」より、摂取への注意が発表され、台湾では各社による自主回収が相次ぎ、かなり話題になりました。
その毒性が日本ではあまり知られておらず、死亡者が出るなどの健康被害が広がってから、回収ということになるのは、とても残念です。
今回は、紅麹について簡単にご説明をします。
「紅麹」は蒸したお米を紅麹菌によって発酵させたものです。
沖縄の伝統食「豆腐よう」はこの紅麹を使って発酵させた食品です。
また、中国圏でよく見かける赤い色のチャーシューなどは、この紅麹を使っています。
紅麹は発酵食品としての効能だけでなく、含まれる機能成分「モナコリンK」に以下のような、健康効果があることから、さまざまな食品やサプリメントに使われています。
◆総コレステロールと低密度コレステロール(LDL-c)を減らす
◆心血管保護効果
◆血圧低下作用
◆骨粗鬆症の症状を改善する
◆抗がん作用
すばらしい食材ではありますが、一方、保存状態が良くない「紅麹」には
カビが発生し、カビ毒であるシトリニンは肝毒性、腎毒性があります。
台湾では「食品におけるカビ毒の限度基準」として、
紅麹色素のシトリニンの基準値は200ppb以下、原料として使用される紅麹米は5ppm以下、紅麹原料を使用した食品は2ppm未満と規制を設けています。
台湾や中国では、紅麹原料や紅麹含有食品については自主検査を行い、基準を満たしたものを商品に表記して販売するなどの方法が以前から取られています。
小林製薬のサプリは、この基準を満たさない「紅麹」を原料として使っていた可能性があると思います。
すでに紅麹サプリを服用されている方は、ぜひこちらの情報を参考に、原料に問題がないかを問い合わせしてみてください。
詳しい情報に関しては、こちらにPDFのリンクを貼っておきます。
中華民国衛生福利部食品藥物管理署
「市販の紅麹含有食品中のシトリニン含有量の調査(中国語原文)」
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&opi=89978449&url=https://www.fda.gov.tw/tc/includes/GetFile.ashx%3Fid%3Df636695027474356165&ved=2ahUKEwjessiC9pCFAxUMhVYBHf3HCecQmuEJegQIDxAB&usg=AOvVaw2H1ieCZZVy5q5vWQcgCktC
日本語に翻訳したものはこちら
(Google先生にお願いしました(^^;)
http://kanpokitchen.com/school/wp-content/uploads/2024/03/red-yeast-rice_report.pdf
こちらは2013年8月に台湾の「華視新聞」に掲載された紅麹のカビ毒の記事の日本語訳です。
https://news-cts-com-tw.translate.goog/cts/society/201308/201308151295008.html?_x_tr_sl=zh-TW&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc
紅麹自体は、優れた薬用効果のある上、とてもおいしい食材で、私も紅麹を使った「紅麹醤」で豚肉を蒸したりと楽しんでいます。
正しく知り、なおかつ質の良いものを使って、健康に役立てていただきたいと思います。
※なお、2021年に開講した漢方キッチンの講座「免疫力をあげるゆる養生ご飯」で使用した紅麹は、上記基準値をクリアしたものを使っております。
ご参加された方はご安心ください。