2026.7.10
こんにちは。
漢方キッチンの阪口です。
少し前の週末に、埼玉県桶川市で開催された「紅花まつり」に行ってきました。
紅花は、薬膳ではおなじみの生薬・食材のひとつ。
自宅から30分ほどの場所で紅花が栽培されていると知り、「ぜひ畑を見てみたい」と思い、足を運びました。

訪れてみると、一面に広がる紅花畑。
丸いつぼみから、細くとがった花びらが上へ向かって開いていく姿は、とても可憐で、思わず見入ってしまいました。

紅花といえば山形県の「最上紅花」が有名ですが、実は桶川も江戸時代には山形に次ぐ全国第2位の生産地だったそうです。
天明・寛政年間(1781~1801年)、江戸商人が種子を持ち込んだことをきっかけに栽培が始まり、「桶川臙脂(おけがわえんじ)」の名で全国に知られる特産品となりました。
当時は町のあちこちに紅花畑が広がっていたそうです。
その後、一度は栽培が途絶えましたが、地域の方々の努力によって再びよみがえり、今では街づくりのシンボルとして大切に受け継がれています。
紅花まつりでは、実際に畑で紅花摘みも体験できます。
料金はなんと1株100円。
受付ではさみを受け取り、「たくさん摘もう!」と畑へ向かったのですが……
1株が想像以上に立派で、3株でも抱えきれないほどの量でした。
300円でこんなにいただいていいの?と思うほどです。
しばらく花を眺めて楽しんだあと、花びらを一枚一枚摘み、薬膳料理に使いました。

紅花は「血」を巡らせる代表的な薬膳素材
紅花(こうか)は、中医学では活血(かっけつ)といって、滞った血の巡りを促す代表的な生薬です。
血流を整え、冷えや肩こり、月経トラブルなど、「血の巡り」が関係する不調によく用いられます。
また、血の巡りを良くすることで肌のくすみを防ぎ、美しい肌づくりにも役立つと考えられています。
紅花の鮮やかな赤色は、カルタミンなどの色素成分によるもの。
さらに、花にはポリフェノール類などの抗酸化成分も含まれ、身体を酸化ストレスから守る働きも期待されています。

今回は、血を補う働きをもつ大アサリと組み合わせ、さらに香りのよいセロリを合わせて、オートミールのリゾットにしました。
1)玉ねぎとセロリをみじん切りにして少量のオリーブオイルで炒め、オートミールも軽く炒めます。
2)紅花の花びら、水、白ワインを加え、軽く塩・こしょうして混ぜ合わせ。
3)大アサリをのせて蓋をし、4分ほど蒸し煮にします。
4)仕上げにさっとゆでたセロリの葉を散らせば完成です。
乾燥した紅花は独特の香りが気になることがありますが、生の紅花は青臭さが少なく、とてもやさしい風味。
オートミールとの相性もよく、彩りも美しい一皿になりました。

戦後、効率や採算が重視される中で、地方に根づいていた多くの文化や食習慣が姿を消していきました。
けれど最近では、「町おこし」という新しい形で、地域の伝統をもう一度大切に育てようという取り組みが各地で始まっています。
効率がいいか、商売として成り立つか、という視点で考えれば、役に立たないもの、採算が取れないものも、その土地に暮らす人の誇りや愛着、人と人をつなぐ時間という視点で見れば、また違う価値が生まれる。
伝統が現代の暮らしの中で、新しい形で生き続けていく。
それはとても素敵なことですね。