【1日1養生#15】薬膳スッポン鍋を体験してきました

2022.1.25

こんにちは

漢方薬膳研究家の阪口珠未です。

しばらく忙しくしていて、メールが書けませんでした。

お元気でおすごしですか?

少し前になりますが、漢方キッチンは11月が決算。打ち合わせで税理士の先生のところに行ってきました。

「阪口さん、すっぽん鍋に薬膳を取り入れているお店があってね。阪口さんの参考になりそうだから行ってみたら。」と、あるすっぽん料理屋さんのお店の名刺を渡されました。

問い合わせしたところ、今の時期でも安心な個室。

友人を誘って、名刺の地図を見ながらお店へ。
場所は歌舞伎町。昔のコマ劇場の裏です。

いろいろなところで、「お姉さん~、お店お探しですか~っ??」って声をかけられる(^^;

コマ劇場の裏に回り込んでみたもののお店が見つからずうろうろしていたら、雑居ビルの看板に店名が。
あやしい香り。。。

「え~こんなところにお店あるの~?」と不安を感じつつエレベーターを上がりました。

到着すると意外にも、すっきりした白木の玄関。
引き戸を開くと、和食のカウンターと個室に区切られたこぎれいな空間でした。

よかった~、ちゃんとしたお店で。


「予約してました阪口です。」

個室に通されて待っているとオーナーが現れました。

「●●先生のご紹介ですね。今日はすっぽん鍋のコースをご用意しましたよ。」

「薬膳を取り入れているとお聞きしてて楽しみにしてきました~。」


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薬膳では、スッポンはおなじみの食材。
男性にとっては、「強壮剤」の印象が強いかもしれません。
スッポンは、「陰液」という体液成分や潤い成分を非常に強く補う「大補陰(だいほいん)」の食材です。

体質的に陰虚や血虚で消耗が激しい時には、食べる点滴のように使います。
特に、精神的に疲れたときや溜まった疲労を癒したいというときにはオススメの食材。
コラーゲンが豊富なので、お肌の乾燥が気になるときにも良いです。
我が家ではさすがにスッポンを調理するのはむずかしいので、缶詰の「すっぽんスープ」をストックしていて、疲れたときやだんなのストレスが強いときなどにお雑炊を作ったりしています。

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こちらのお店では、活きたスッポンをその場でさばいてくれます。

「今日は、こちらのスッポンをすべて召し上がっていただきます。この子は男の子ですね~。」

オーナーが元気に動いているスッポン1匹を持って現れました。

最初は生き血をワインで割ったものと胆のうを日本酒に溶かしたものがでて来ました。
胆のうの鮮やかな緑色に驚きますが、味は爽やかな苦みで、まさに胆(きも)の味です。

その後も、肝刺、唐揚げ、鍋、雑炊、薬草茶のアイスクリームまで、次々にすっぽん料理が登場。

お目当てのすっぽん鍋のベースには、9種の生薬を加えてあります。
和の出汁のベースにほのかな生薬の香りがしていて、なんともおいしい!

先ほどから、オーナーは各個室を丁寧に回って会話をしているようで、楽しそうな声が聞こえてきます。

オーナーさんがまた部屋にやってきました。

「お客様と丁寧に会話されるんですね。」というと
お顔が少し引き締まって、「歌舞伎町という移り変わりの激しい街でうちが40年間店を続けて来れたわけはそこにあるんだと思いますよ。
といって、あるエピソードを教えてくれました。


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うちのお客さんは1回来てくださると、そのあと長く通ってくださる方や、ご紹介が多いんです。僕はお客さんの名前を顔を憶えるためにお客様ノートを作っていて、1回来てくださった方の似顔絵と名前を描いておくんですよ。
そして、お店の休み時間なんかに、そのノートを見返していてお客様のことを思い浮かべるようにしてるんです。

それでね。以前、歌舞伎町で大成功した経営者の方がうちの常連さんだったんです。でも、その方は成功されてから引越しをされて、うちには10年ほど来られなくなってました。
で、ある日、僕がお客様ノートを見て、その方のことを思い浮かべてたんです。どうされてるかな~って。
そうしたら、夜、その方が予約無しで、おいでになったんですよ。

その時僕は「●●さん、お久しぶりです」と言ったんです。

それ以来、その方はまた頻繁にお店に来てくださるようになっただけでなく、本当にいいお客さんをたくさん紹介してくださって、本当にありがたかった。


ある日その方とお話していたときに、「10年ぶりにあったとき、お前は俺の名前をまるで昨日まで会ってたみたいに憶えていて、すっと呼んでくれたよな。あのとき、お前が俺の名前を憶えていなかったら、俺はここまでお前のためにやらなかったよ。」

って言われました。

『お客さんを大切にする』っていうのは、口で言うのは簡単なんだけど、地味なことの積み重ねなんですよ。


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とても素敵なエピソードでした。

何より「お客様ノート」を商売のための方便として、というより、オーナーさんが「お客様のことが好きで憶えたいからやってる、続いている」という自然さが素晴らしいなと思いました。


お腹も心も幸せな気持ちでお店を後にしました。


税理士の先生に「薬膳のネタも良かったですが、オーナーのお話が勉強になりましたよ。」とお伝えしたら、「さすがに続いているお店は訳があるんだね。阪口さんも社長としてがんばって!」と励まされ(^^;


私なりに好きで続けていて、それがお客様に喜ばれていることってなんだろうと、内省する機会になりました。


あなたも、自分は意識していなくても、自然にやっていることが、周りに幸せをもたらしていることがあるかもしれませんね。


個性やタレントとは、そこに「フォーカス」することで輝くのかもと感じました。



もうすぐ立春。

中国医学では、これからが新しいことのスタートの時期。


あなたはこの春は自分の中の『どんなタレント』にフォーカスして行きたいですか?



すっぽん鍋「新宿あぐら屋」さんの情報はこちら→
https://www.houju.co.jp/aguraya/

私もオーナーさんのファンになって紹介してますね(o^―^o)