2010.7.29

 杏って不思議な果物ですね。生でいただいても、あまり強い香りや味がしないのに、加熱したり、干したりするとあの杏独特の芳しい香りが濃厚になるんですよね。
 普段は、ジャムをあまり作らないのですが、杏が出回ると、あの香りをかぎたくて、必ず手に取ります。
薬膳的に見ての薬効は、体や肺を潤して、のどの渇きを癒し、咳をとめるというもの。杏の種である杏仁を使った杏仁豆腐も、もともとは咳止めの薬膳です。
さて、杏、肉料理ともよく合います。豚肉とローズマリーとマリネして焼きます。夏らしい香りが美味。
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 残りは定番、杏ジャムに。
オレンジの果汁を絞って一緒に煮るとさらに爽やかな香りと酸味が楽しめます。
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 昔、病人から治療費を取る代わりに、杏の木を植えさせ、それが10万株ものも杏の林になったという故事があります。医者のことを美称で「杏林」といいます。
 このお医者様、杏の花を愛で、杏の実をこころゆくまで堪能されたでしょうね。杏は、なくてはならない果物ではないけれど、あると豊かな気持ちに導いて、人の心に優雅さと余裕を喚起させるような植物かもしれませんね。