薬膳レシピ:すいかの皮のスープ

2014.8.18

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『すいかの皮のスープ』

<材料(4人分)>

・すいかの皮
 (白い部分を中心に) 100g
・豚肉(細切れ)    100g
・片栗粉        大さじ2
・かつお節       20g
・昆布         1枚
・酒          大さじ1
・塩          小さじ1/3
・おろししょうが    1かけ分
・ねぎ         適宜
<作り方>

1)だし汁をとる。かつお節、昆布、水800cを鍋に入れておく。
  強火にかけ、沸騰してから、弱火で2、3分煮出す。
  かつお節はざるでこす。昆布は1cm角に刻む。

2)すいかの皮は、白い部分を包丁で薄く削ぎとり、3cmぐらいの
  幅に切る。

3)豚肉は、塩、こしょう(分量外)をして、片栗粉をまぶす。

4)鍋に1のだし汁とすいかの皮としょうが、酒を入れて火にかけ、
  沸騰したら弱火で3分ほど煮る。3を加える。塩で味を整える。

5)器に盛り、小口に切ったねぎを振る。
ーーー

 「すいかを真っ二つに切って、独り占めして食べてみたい」
そんな風に思ったことはありませんか? 
夏の暑いときに、冷えたすいかを食べると、渇いた体が落ち着いて、
本当においしく感じます。北京に留学していたころ、夏になると、
すいか売りの出店が楽しみでした。

 トラックにすいかを山のように積んでやってきて、道のそばの
空き地にテントをはり、そこですいか売りたちは、道行く人に
すいかを薦めます。

 「甘いすいか、保証します」と書いた看板の下で数100個の
すいかが転がっていて、それは壮観です。仕事帰りに買って
持ち帰るお父さん、ジュース代わりに買ってその場で食べしまう
グループなど、夏中、ひっきりなしに人が立ち寄っていきます。

 私も、すいかを独り占めして食べたくて、買って帰っては、
半分に切ったすいかを贅沢にスプーンですくって楽しみました。

 

 食べ終わったすいかの皮を捨てると、中国人の同級生が、
「すいかは食べきった後も、使えるのよ」と言います。
どうやって使うのかを聞くと、「白い部分を薄く切ってスープに
するのよ。甘いところよりずっと薬効があるのよ」とのこと。

 「すいかの白い部分」を食べると聞いたときは、まずそう〜。
と思ったのですが、実際に作ってもらって食べるとやさしい味で、
たくさん食べられます。暑さで火照った体がすーっと癒されて、
疲れが取れるような感じがしました。

 

 すいかは、薬膳では夏に使われる薬効の多彩な食材です。夏に
発汗で奪われやすい体液を補い、のどの渇きを潤し、熱中症や
日射病などの熱の症状から体を守ります。

 漢方のひとつに、発熱を伴う感染性の熱病にとてもよく効く
白虎湯(びゃっことう)という処方がありますが、すいかは
「天然の白虎湯」と呼ばれるほどに、熱を鎮める効果があります。

 また、水分代謝を高めて、利尿させ、夏におきやすいむくみを
取ってくれる働きもあります。この効果は赤い実の部分よりも
皮近くの白い部分の方が強いのです。

 西瓜糖という漢方薬は、すいかを煮詰めて作ったもので、
むくみを取ったり、水分代謝異常から起こる毒素を排出するので、
夏に湿疹やあせもがよく出る人にも効果があります。

 

 先日、すいかの白い部分を使ったスープを料理講習で作りました。
講習では甘い果実ではなく、皮に近い白い部分が主役。
「このすいか、実ばかり多くて、皮が少ないですね〜」とか
「先生、身の部分は、今日はどうしましか?」なんて、すいかに
とっては、思いがけないコメントが続出です。

 皮の部分をこそげとって、薄くスライスし、豚肉スライスと煮て
つるんとした食感のスープが出来上がりました。おいしいのは
もちろん、翌日、むくみがとれたという方も。
やはり、すいかの皮の薬効がうまく出たようです。

 すいかを食べると出る大量の皮を使うことができれば、エコにも
つながるし、いいことばかり。そんな風に思っていると、
生徒さんからメールが届きました。

 「講習ですいかのスープを教わって以来、すいかの皮を
捨てるのに、罪悪感を感じるようになってしまいました」

 今まで、気軽に捨てられていたすいかの皮もそんな風に
言ってもらって本望かも・・・。

 薬膳のオリジナルレシピは豚のスープストックを使いますが、
日本人向けにかつおだしにアレンジしてあります。
鶏がらスープと鶏肉でもアレンジできますので、気軽にお試し
くださいね。