薬膳レシピ:シーフードと黒豆のイカ墨風ピラフ

2014.5.14

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『シーフードと黒豆のイカ墨風ピラフ』

材料(4人分)

イカ・えびなど   250g ※1
米         1.5合
黒米        0.5合
黒豆        30g
玉ねぎ       中ぶり1/2個
にんにく      1かけ
カットトマト    150g
黒豆の戻し汁    350cc
オリーブオイル   大さじ1
白ワイン      50cc
塩         小さじ1/2
こしょう      適宜
ドライオレガノ   少々
ローリエ      少々
パセリのみじん切り 適宜

作り方

1)黒豆は洗って、あらかじめ温めた魔法瓶に入れ、
 熱湯を400cc(分量外)ほど入れて一晩置く。※2

2)米と黒米は洗って30分吸水させ、ざるにあげる。

3)イカは2センチ各に切る。えびは背ワタを取って、
 1センチ角に切る。にんにく、玉ねぎをみじん切りにする。

4)フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて火にかける。
 香りが立ったら玉ねぎを加えて炒め、さらに、米を加えて炒める。

5)黒豆の戻し汁、水、ワイン、オレガノ、ローリエ、塩こしょう、
 黒豆、カットトマト、イカ、えびを加えて混ぜ、ふたをする。
 沸騰したら弱火で15分ほど煮る。そのまま蒸らす。※3

6)炊き上がったら、器に盛り、パセリのみじん切りをあしらう。

※1 冷凍シーフードミックスで代用できます。
※2 忙しいときなど、黒豆の下準備1の代わりに炒り黒豆を使うとラクチンです。
水加減は、少し多めにしてください。
※3 米を炒めたあと炊飯器に移して、普通に炊飯してもよい。

ーーー

 数年前、家族旅行で米フロリダ州のマイアミに行きました。
マイアミでは南米の料理が食べられると聞いていたので、ぜひ、
キューバ料理を味わってみたいと思っていました。

 でも、本場のキューバ料理を出す有名な店舗は、キューバやコロンビアの
入植者が住む街「リトルハバナ」にあります。
ガイドブックには、「危険な場所なので注意が必要」とか
「キューバ人ギャングとハイチ人ギャングの衝突がたびたび起こる」などと
書いてあります。

 次にいつ来れるかわからないし、やっぱり行きたい! 
タクシーで近くにつけてもらうと、道の両脇には、昼間から中年の男性が
たむろしていたり、何人かで座り込んでいたりして、ちょっと怖い雰囲気。
それでも好奇心には勝てなくて、娘の手を握って足早に通り過ぎました。

 しばらく歩くと娘が、「もう疲れちゃって歩けない・・・」と
べそをかいています。
娘をおんぶして、近くで水まきをしていた安全そうな年配の男性に、
中心部のドミノ広場までは、どれくらい距離があるかときいてみました。
すると「歩いて15分ぐらいかな」といいます。

 15分かあ。暑いし、娘はもう歩いてくれそうにないし・・・
躊躇していると、男性は「すぐそこの先にある店は、かなりおいしいよ」と
テラスのある小さな店を指差して言いました。「キューバ料理かしら?」と
たずねると、笑って「ここはリトルハバナだからね」。

 最初目指していた有名店はやめて、彼のおすすめの店に入りました。
マダムとおぼしき人に英語で注文しましたが、通じません。
スペイン語じゃないとだめなようです。隣のテーブルで他の人が食べているのを
指差しながらいくつかの料理を注文しました。

 出てきた料理はすばらしいものでした。とうもろこしの粉で練り、
とうもろこしの皮で巻いたチマキのようなもの。黒豆を煮込んだピラフ。
チキンとスパイスのスープなどなど。どれもくどくなく、体にやさしい味でした。

 ぜひ、レシピを知りたいと思い、身振り手振りで話をすると、
英語が話せる店主の息子さんが出てきました。
「使っているスパイスを知りたい」というとメモにオレガノ、クミン、ローリエなど
7、8種類のスパイスの名前を書き込んできてくれました。

 それだけでなく、マイアミの日本料理店はどこが美味しいとか、観光は
ここに行くといいとかフレンドリーに教えてくれます。
私の中の怖い街というイメージが払拭されていきます。

木陰のテラス席はすずしい風が入って、街路樹の緑が揺れています。
そばの道を歩く人たちの話すスペイン語が音楽のよう。
すっかりリラックスして長居をしてしまいました。

娘を見るといつのまにかご機嫌がなおって、お店においてある人形に
話しかけて遊んでいます。店主にお礼とさよならを言ってお店を後にしました。

 目抜き通りにもどると、なんだかしばらくの間、本当にキューバの街の
片隅にトリップしたような感覚を憶えました。

 キューバ料理などのカリブ海の料理には、日本と同じように豆が
よく使われています。薬膳でももちろん出番の多い食材です。

 日本では、立夏を過ぎると天気に湿気が出てきます。
熱や湿気の害を取り除いて体を健やかに保つのが、黒豆、緑豆、小豆などです。

 黒豆は利尿効果のほか、滋養強壮作用や血液を増やして補う作用があり、
アントシアニンも豊富で体のさびつきを取り去ります。

 発芽するともやしになる豆、「緑豆」はむくみを取る利尿作用や、
体内の余分な熱を排出し、ストレスから来るのぼせやほてりを取る働きがあります。
老廃物を中和する強い解毒力を持ち、鉛中毒や、蟹の中毒などの解毒に使われてきました。

 小豆は、むくみを取り、血液を浄化するため、アトピーなどの皮膚病を和らげる
効果があります。産後の悪露によい小豆粥も有名です。

 帰国してから、日曜日のお昼に日本の豆とリトルハバナで買ったスパイスで
再現してみました。黒豆を戻し汁ごと使うので、全体に色がついて、まるで
イカ墨を使ったかのようなピラフの仕上がりで、とっても美味。
そしてやはりお店で食べたのと同じく体にやさしい味でした。

 お店で最後にお砂糖のたっぷり入ったキューバコーヒーを飲んだのを思い出しました。
甘くて、ふくよかな思い出とともに、コーヒーも添えて。
東京のマンションの小さなテーブルにいながら心はすっかり、リゾート気分です。