野性の建築~平野晃久さん

2018.10.24

こんにちは、阪口です。私の大好きな建築家のひとり、平野晃久さん。
彼が手がけた図書館が群馬県の太田市にあります。
キャンピングカー雑誌の取材の帰りに、足を延ばして、太田市まで行ってきました。

もともと好きな作家さんでしたが、直接お話を聞く機会はありませんでした。
でも、5月にイイノホールで開催された彼の講演会に娘と二人で聞きにいくことができました。

 

彼の建築は、まるで動物のようで、植物のようで、微生物のよう。
家の内と外、屋根と壁、庭と家屋という境界がありません。

彼は言います。

「建物は、地表現象だ」
どこまでが建築で、どこまでが地表なのかわからないような建築が作りたい。と

講演では、山の中腹に建てられた、屋根が隆起した家が紹介されていました。

隆起した屋根のカーブは、この山の上から吹いてくる風を一定期間計測し、

それをコンピューターで映像化し、風のカーブの軌跡に沿って屋根を作ったものです。

例えば、山の斜面は長い期間の風にさらされることで、浸食されていきますが、

おこるであろう浸食を前もって構造物に取り入れることによって、「浸食された地表と同じ構造を持つ屋根」ができるということです。

それによって、強い風をうまく逃がすことで、建物の強度にもプラスになるという考え方です。

「新しい知性」

とは、こういうことかもしれません。

彼の建築は、

「人工物と自然の2項対立というのは、本当は存在しない偽の対立ではないのか」と問うています。

太田市に建てられた美術館も

どこまでが1階で、どこまでが2階かという堺がありません。

ぐるっとまわる階段の周りに、書棚が取り付けられ、

 

 

階段を囲む大きな窓には採光のよいテーブルが取り付けられています。

 

1階の玄関の上には、すぐに中2階(?)が見えますが

どうやって行けるのか、わかりません。

 

さらに、行き止まりの先に、ちょっとした休憩席があったり。

また、当然のように、建物の途中から、屋外につながっていて

建物の斜面が、小さな山の斜面のようになっていて

登りきると山頂(建物の屋上)があります。

子どもの読書ルームは、息をのむぐらい

可愛らしい。

 

ぶつかったときに安全なように、書棚の角がすべて丸めてあります。

不思議なことに、この建物なのか、山なのかわからない構造物の中にいると

元気になってくるんです。

ワクワクしてくるというか、エネルギーが湧いてくるというか。。。。

生物は、いろいろな異物を、自分の中に取り込みながら進化してきました。

生物のエネルギー代謝に関わっている、ミトコンドリア。

もともとは、独立した細菌だったものを、遠い昔に細胞の中に取り込むことで

新しい形の生命体に変化しています。

私たちは「人工」と「自然」とおこがましくも対立させているけれど

地球という生命体にとっては「人工」などは、「異物の活動のひとつ」にすぎないのかもしれない。

地球の大きな生命活動と一体になるような「人工」が、新しい時代の人工なのではないかしらと思うのです。

私たちの心が疲れてしまうとき、

そこにも偽の対立があるように思います。

意志の力で、

「こうしなくちゃ」

「こうであるべき」

とジャッジすることと、

動物としての自分が望んでいることが違うときがあります。

そんなとき

「こうであるべき行動」や

「こうしなくちゃいけない行動」をとれないのは

ダメな人間だと思ってしまいがちです。

でも、本当にそうなのかな?

もしかしたら、意志という人工の知性は大したことなくて

動物としての自分の望む方向に進むことが

より高度な知性なのかもしれませんね。

もしかして、「生かされてる」ってそういうことかな。

さて、講演会が終わったあと、

娘が「どうしても写真集を買って、握手したい。」と言います。

とほほ。

5000円以上するのよ。

でも、平田さんに訊きたいことがあるというので、

本を買って、サインの列に並びました。

娘が訊きます。

「平田さんが、建築家として、一番大事にしていること、心がけていることはなんですか?」

平田さん「動物としての自分が喜ぶことを、やることですよ。」と、

ニッコリ。

ヒュー♪

平田さん、サイコー!!

平田晃久さんについてはこちら→https://www.arc-agency.jp/magazine/67

 

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