陰膳

2010.6.27

今日ランチで訪れたタイ料理屋の入り口に、お供えがしてありました。
日本でも盛り塩はよくするけど、こちらはちゃんと「神様用のランチセット」といった趣です。
im100627
大学を卒業して、中国に留学することを決めた頃、陰膳をしていました。
といっても、こんな本格的なものではなくて、朝起きてお茶を入れるときに、自分用のほかに、もう1つお茶を用意して供えるのです。
誰に? 多分、自分に。
法学部を卒業して、内定を断って、就職もしないで、中国に薬膳なんて畑違いなことで留学する。自分で決めたことでしたが、外野からのいろいろな話も耳に入り、自信がもてない時期でもありました。
そんなとき、「お茶を入れて、供える。」それだけのことが、心のざわつきを和らげてくれました。
私の中の「霊性」みたいなものは、私の行動の意味を知っている。自分の中の霊性を信じ、つまりは自分を信じるために、陰膳は必要な行為でした。
この店の店主は、きっとタイ人だから仏教徒なのでしょうね。
店の前に、日々陰膳をすることで、彼が彼自身と常に一緒にいることを、確認しているのかもしれません。

今の私は子どもも生まれて、そんなことも考えている暇もない日々。でも、私が忘れているときだって、私はいつも私自身と共にいるんだ・・・と心強く感じたのでした。