薬膳レシピ:ヨモギの香りの炊き込みご飯

2014.5.6

008p

 

『ヨモギの香りの炊き込みご飯』
材料(2~3人分)

米          1.5合
干し椎茸       3個
(中ぶりのもの)   
人参         100g
豚ひき肉       60g
ヨモギの粉末     大さじ1
しょうが       ひとかけ
サラダ油       小さじ2
塩          小さじ1/4
酒          大さじ2
しょうゆ       大さじ2

<作り方>

1)米はといでざるにあげておく。干し椎茸は、水で戻す。

2)人参はみじん切り、戻した干し椎茸は半分に切って薄切りにする。
  しょうがはみじん切りにする。 

3)フライパンにサラダ油を入れ、しょうがを入れて火にかける。
  香りが立ったら豚ひき肉を入れて、ほぐしながら炒める。
  続いて人参、椎茸を炒め、しんなりしたら、塩、酒、しょうゆを加えて
  味をつけ、火を止めて冷ます。

4)炊飯器に①を入れ、干し椎茸の戻し汁と水合わせて1.5カップを加える。
  ③とヨモギの粉末を加えてかき混ぜ、通常どおり炊飯する。

5)炊きあがったら、かき混ぜて完成。

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 沖縄では、ヨモギは本州の料理薬味、ねぎやしょうがのような
感覚で頻繁に料理に使われています。
そばの上に乗せたり、炊き込みご飯の具になったり。

 以前、沖縄を訪れたとき、私もヨモギ料理をたくさん体験しました。
ひとつは、ラーメン屋で、麺の上にヨモギが丸ごと1本分、あしらわれたもの。
ヨモギの苦味と香りが、一緒に添えられた豚バラ肉のしつこさを中和して
さわやかな味に仕上がっていました。

 もうひとつは、「ジューシー」と呼ばれる沖縄の混ぜご飯に、
細かく刻んで炊き込まれていました。
シナモンのような芳香がご飯から漂っていて、噛みしめると野草独特の
強い主張があります。
食べ終わったあとも、胃がもたれず、すっきりした感じがします。
本州のものに比べると香りが強く、アクが少なくて、「欲しい!!」と思いました。

 苗を旅の途中ずっと探しつづけましたが、料理屋では、皿に乗っているのに
園芸屋さんやハーブショップを訪ね歩いても、売っていません。

 「フチーバー??(ヨモギのこと)そこらへんに生えてるさぁ」
という返事がかえってくるばかりです。
確かに畑をのぞくと青々としたヨモギが畝にそってきれいに植えてあります。
畑のヨモギを見るたびに、ちょっと拝借したくなる気持ちと戦いつづけながら
旅をつづけたのでした。
 ヨモギは昔から毒気、邪気を払う力があるとされ、料理に使われました。
ひな祭りの菱餅も、邪気払いの意味で使われています。
ヨモギは、漢方では、「艾葉(がいよう)」といい、生理不順や、月経痛、
生理以外のときに出血してしまう不正性器出血によく使われます。

 子宮を温め、月経痛を取る働きがあるます。ヨモギの煎じ液の蒸気を
下半身にあてる韓国のヨモギ風呂も、冷えに著効があります。
また、胃液分泌を促進し、消化力を高めるので、先ほどの沖縄料理のように、
肉料理などにあわせるのもぴったりです。

 食べるたけでなく、入浴剤にするのもおすすめです。特に、春に採れるものは、
最も薬効が強いといわれます。
この季節に出やすいアトピーや肌のかゆみに、とってもよく効くそうですよ。

 私が薬屋をやっていたころ、私と同じように漢方を扱っていた友達が、
「春のヨモギは、効き目がすごい!」と言っておりました。
葉を摘んで、乾燥させてお風呂に入れるとかゆみや赤みが取れやすくなるそうです。
 さて、旅も半ばを過ぎたころ、ある植物園の売店で、
「ヨモギの苗が欲しいんですが、どこか売ってないかしら?」と聞くと、
しばらく考えた店員さんが、外に生えているヨモギの小さな株をヒョイと抜いて、
濡れたティッシュでくるんでくれました。

 やっと手にいれた苗、枯らさないように旅の間中、濡れタオルに来るんで
旅を続けました。
そして、さらに、空港のフラワーショップで、鉢植えのヨモギを発見。
お値段は210円。
二つのヨモギの苗は大事に大事に抱えられて空を飛び、私の家へやってきました。

 ヨモギは川の土手などによく生えていますが、犬のお散歩ルート上に
群生しているものは、ちょっと遠慮したいもの。
場所によっては見つけるのが難しいところもありますよね。
今回のレシピは、スーパーなどで手軽に手に入るヨモギの粉を使います。

 簡単にできて、体にやさしい、女性には特におすすめの薬膳です。